
©PROJECT MAQUIA
作品情報
初公開日:2018年2月24日 日本全国公開
上映時間:115分
ジャンル:ファンタジー・ドラマ・ロマンス・アニメーション
製作国/配給:日本/ショウゲート
監督・脚本:岡田麿里
副監督:篠原俊哉
アニメーション制作:P.A.WORKS
キャラクター原案:吉田明彦
キャラクターデザイン・総作画監督:石井百合子
音楽:川井憲次
主題歌:rionos「ウィアートル」
あらすじ
長寿の種族イオルフの少女・マキアは、外界との接触を避けて静かに暮らしていた。ある日、イオルフの血を求めたメザーテ国の襲撃により、仲間と故郷を失い、ひとり人間の世界へ放り出される。絶望の中、彼女は襲撃を受けた村で両親を失った赤ん坊・エリアルを見つけ、育てる決意をする。
成長していくエリアルと、時を止めたままのマキア。二人の間には、やがて埋めがたい「時のずれ」が生まれていく。さまざまな出会いと別れを経て、母と子として歩んだ二人の人生は、静かで深い愛と共に終着点を迎える。これは永遠を生きる少女と、限りある命を持つ少年の、優しくも切ない物語。
感想
アニメ関係はあんまり明るくないので、監督やキャラデザ担当で引っかかることはないんですがゲーム系にはある程度知識があるため、ニーアオートマータやファイナルファンタジー14等のキャラクターデザインの吉田明彦が今作のデザインを担当しているということで鑑賞。 これが個人的に大当たりで結局限定版のディスクも購入してしまいました。
寿命の長い種族と普通の寿命の人間が出てきてその交流が描かれることと、ヒロインの種族が「別れの一族」と呼ばれているという設定を見た時点で何となく話の軸が想像できる感じでしたが、そんな野暮なことはどうでも良い位の良作。
まずストーリーは比較的シンプルながら生きることと死ぬこと、親と子の愛情、時間の流れといった普遍的なテーマを軸にそれぞれのキャラが置かれた状況に向かいあい、時にはぶつかりながら話が進んでいきます。
最初のメザーテ王国の襲撃は劇的な出来事ですが、その後のマキアとエリアルの生活は最初の襲撃とは打って変わって淡々とした日常となります。ただそれは退屈なフェーズではなく、マキアが不慣れながらもエリアルの事をなんとか育てていこうと必死で頑張る様子が描かれます。 これが健気でいいんですよねぇ、、、頑張りたいけど上手くいかない様子なんかは無茶苦茶応援したくなります。

上手くやれない自分へのいら立ちと、思い通りにしてくれないエリアルへのいら立ちが交錯するシーン。
こういったやり取りが全てラストシーンへつながっていく訳ですね。
子供の成長に従って、親子の関係が変化していくのも重要な要素として描かれていてエリアルがマキアに感謝しているものの素直になれない所とかはおそらく誰もが共感できる部分じゃないかと思います。 こういった普遍的に共感しやすい描写を挟んでいるのでより物語に引き込まれます。
それが描かれてからのエリアルの「母さん!」は破壊力バツグン。 あれで涙腺を持っていかれた人も沢山いたはず。
後半のメザーテ襲撃ではクリムがせっかくレイリアを助けに来たのに拒絶されて見ているこっちも闇落ちしそうになりますが、劇中最悪の不運男のクリムに別の意味で涙が止まりません。レイリアももうちょっとこう・・・あったんじゃないかと思いますが。

相思相愛の間だったレイリアを拉致され、別の男の子を産まされていて、助けにいったら拒絶され、挙句に銃で撃たれ、最後は誰にも看取られずに〇亡とかあまりにもひど過ぎる仕打ちを受けるクリム君。
初見時は本当に見ているこっちもそこそこダメージ入りました。 あんまりだ。。。
レイリアと子供のメドメルの再開は唐突に起こりますがその時のメドメルの表情なんかも秀逸で感情を揺さぶられます。 というかこの映画細かい表情が良いですよね。

長命を引き継ぐことなく、父親からは見捨てられ、母親とも一緒にいることができないメドメル。
にもかかわらず自身の不遇を嘆くことなく、「ここから降りたら全く別の生活が待ってる。それでも私は・・」
と覚悟を決める様子はかっこよすぎる。 幸せになってほしいなあ。
そしてラストのエリアルとのシーンへ。。
これはもう卑怯というしかない演出なので実際に見るしかないと思いますが、回想なんぞいれたらいかんでしょう。そりゃ泣きますわ。 最後エリアルのそばに寄り添っているときのマキアの表情も最高に素晴らしい、笑顔の中にも寂しさと感謝が滲んでいるのはこれまで共にした時間が長かったからこそのものだと思います。 作画は割とシンプル目なのにそれを感じさせないスタッフの技量にも拍手。 本当に良いシーン。

これ初見で耐えられる人いるんですかね??
未見でアニメが好きならぜひ見てほしいです。