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この映画が名作だと言われる理由の一つに、見る年齢によって感じるものが大きく異なるというのがあると思います。
10代くらいまではシンプルに仲の良い少年たちの冒険劇に見えるし、20代以上になるとノスタルジーを感じるロードムービーになるし、更に年を重ねればそれまですれ違ってきたもう2度と会わない人たちの事が思い出される映画に。
劇中の4人はそれぞれ問題を抱え、それでも何とか進もうとしている姿は「成長」そのもの。
その輝きは永遠のものですが、その輝きの中には2度と戻ることができない。そんなもの悲しさも感じる輝きに誰もが惹きつけられるのではないかと思います。
作品情報
スタッフ
監督:ロブ・ライナー
脚色・製作:レイノルド・ギデオン
脚色・製作:ブルース・A・エバンス
製作:アンドリュー・シェインマン
原作:スティーブン・キング
主題歌『スタンド・バイ・ミー』:ベン・E・キング
撮影:トーマス・デル・ルース
音楽:ジャック・ニッチェ
キャスト
ゴーディ:ウィル・ウィートン
クリス:リバー・フェニックス
テディ:コリー・フェルドマン
バーン:ジェリー・オコネル
エース:キーファー・サザーランド
作家:リチャード・ドレイファス
あらすじ
1959年のオレゴン州、小さな田舎町に住む12歳の少年ゴーディ、クリス、テディ、バーンの4人は、行方不明になった少年の死体が森の中にあるという噂を耳にする。退屈な夏休みの冒険として、その死体を探しに行くことを決意した彼らは、線路づたいに森の奥へと歩き始める。旅の途中で、彼らはそれぞれの家庭環境や抱える悩みについて語り合い、時には衝突しながらも絆を深めていく。内向的なゴーディは兄の死に苦しみ、優しいが問題児扱いされるクリスは将来に不安を抱えていた。テディは父親への複雑な思いを胸に秘め、バーンは仲間の中で自分の立ち位置を探していた。やがて目的地にたどり着いた彼らは、思いがけない出来事を通して命の重さと現実の厳しさを知ることになる。この冒険を経て、少年たちは心に深い変化を抱えながら、それぞれの人生へと歩み始める。ノスタルジックで切ない、成長と友情の物語。
感想
この映画は田舎町に住む4人の少年の一夏の友情と成長と喪失を描いた名作映画。
初めて見たのは小学生のころにテレビで放送してたのを見たんですが、この時はただの少年たちの家出冒険映画という認識だったんですが、その後成人してから見たらまた全然印象の違う映画になっていてびっくりしました。 正に見る人によって色々な見え方に変化する万華鏡のような映画。きっとこの先も何度も見るんだろうなと思います。

少年たちのたまり場の小屋、 木の上に建てられたこの小屋に憧れた人多いんじゃないかな
4人の少年たち
・ゴーディ
将来を期待された兄を事故で無くし両親が落ち込んでいるけど、こんな時ゴーディならどうして欲しいんだろう。
多分兄を失ったことは確かに悲しくて大きな喪失だけど、私たちにはお前が居るって言って欲しかったんじゃないかな。 自分の存在が両親の生きる希望になっている実感が合ったらこの時のゴーディはもっと自分の存在に誇りを持てたはず。
・クリス
撮影時は14歳だったというリバーフェニックス。 この年齢にしては色気というか光と闇の両方を持った危うさみたいなものがすごい! 設定では荒れた家庭に育っていてい、わゆる問題児というレッテルを張られて生きているけどもそれはあくまでも彼の事を良く知らない周りの人間からの評価。 実は彼は思慮深く友人思いで周りを導く能力を持っている。 このクリスが劇中、ある事件の疑いをかけられ無実なのにも関わらず犯人扱いされたのを吐露するシーンは劇中の名シーンとして見る人の心を打ちます。 この時クリスは人間としての尊厳を傷つけられて打ちひしがれますが、エピローグで弁護士になった事が語られるのは同じような経験をした人たちを救いたいという彼の正義感からだと想像するとグッときます。
・テディ
ちょっと気性の荒い乱暴で無鉄砲なところがあるけども仲間思いのところもあるという、いかにも10代といった趣のある少年ですが、父親から虐待を受けて耳を焼かれているにも関わらず第二次大戦での英雄だった父を尊敬しているという、ちょっと複雑な心理を持っているところがなんか共感してしまうところがあって結構好きなキャラクタになってました。 親のことを馬鹿にされて激高するシーンは彼の父への尊敬の念が現れていて感情移入してしまいました。
・バーン
いかにもいじめられっこポジションといった感じの見た目と言動ですが、劇中でもそのまんまw
でも劇中の彼は常に周りのみんなについていこうとし、ムードメーカーとして4人の中でも彼にしか出せない輝きを放っています。 弱腰のなかにも常に希望を無くさない態度には教えられるものがあります。
死体探しの旅
目的はちょっと怖いですが、仲の良い友人たち4人だけで遠くを目指すとか最高に楽しそうな設定ですよねー
ここまでとは言わず、私も子供の頃にこんな冒険してみたかったなあ。
迫りくる列車から逃れたり、沼に落ちてヒルに血を吸われたり、、まるで人生と同じように次々に問題や課題が降りかかってくるけど4人は目的を諦めずに進んでいき そして目的の死体を発見する。この死体を発見することが目的のはずなのになぜか4人に喜びは無く、旅の終わりを寂しがるような雰囲気が印象的。
最高のエピローグ

エピローグの演出も特に素晴らしく、一つの物語が終わっていく寂しさやそれぞれの家に帰っていく安心感、その後の彼らの関係があれほど濃密だったのに薄らいでいく寂寥感等、色々な感情をごちゃまぜにさせられて忘れられないです
特にクリスのその後はまるでリバーフェニックスの人生とシンクロするような内容で何とも言えない気分になります。
そして大人のゴーディが言う
「私は12歳の時に持った友人に勝る友人を あれ以来持った事が無い。 誰でもそうなのではないだろうか」
このメッセージが正にこの映画のカーテンが下りた瞬間のような錯覚を感じさせる名台詞として読まれ、そこから繋がるテーマソングの「Stand by me」はもう最高。
映画を見たというよりも同じ夏を体験したかのような感覚を味わえる素敵な映画です。

Stand by me のMVにキャストの2人が出演していてメチャクチャファンにはうれしい。
楽しそうにしているリバーフェニックスを見ると泣きそうに。。