【映画レビュー】 いまを生きる Dead Poets Society

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中学生位の時に見てボロ泣きした大好きな映画、大人になった今だと感動は半減かもしれないけど
   それでもこの映画には希望を感じるし、若い時代にしか感じられないだろう不安・期待・葛藤・希望等が詰まった美しい映画。 同時に「君はどうしたい?」と問いかけられているような気分にもなる。

目次

作品情報

監督:ピーター・ウィアー(『トゥルーマン・ショー』等)
脚本:トム・シュルマン(第62回アカデミー賞・脚本賞受賞)
公開年:1989年(日本:1990年3月17日)
上映時間:128分
ジャンル:青春・ヒューマンドラマ
製作国/言語:アメリカ/英語
製作費/興行収入:約1,640万ドル/約2.36億ドル

ジョン・キーティング:ロビン・ウィリアムズ
ニール・ペリー:ロバート・ショーン・レナード
トッド・アンダーソン:イーサン・ホーク
ノックス・オーバーストリート:ジョシュ・チャールズ

あらすじ

映画『今を生きる』(原題:Dead Poets Society)は、1959年のアメリカの名門寄宿学校ウェルトン・アカデミーを舞台に、型破りな英語教師ジョン・キーティングと生徒たちの心の交流を描いた感動作。 

新任教師キーティングは、伝統と規律を重んじる学校に反して、生徒たちに「Carpe Diem(今を生きろ)」の精神を説き、自らの人生を主体的に生きることの大切さを教えます。彼の影響を受けた生徒たちは、自分の夢や情熱を見つけ始め、秘密裏に「デッド・ポエッツ・ソサエティ(死せる詩人の会)」を再興します。しかし、自由を求める彼らの行動は、やがて学校や保護者との衝突を招き、悲劇的な出来事を引き起こします。

厳格な社会と個人の自由の葛藤を描きながら、自分らしく生きることの尊さを訴えた本作は、多くの観客に深い感動を与えました。

感想 ネタバレあり

「カーペ・ディエム(今を生きろ)」 
この言葉は受け取る人によって色々な意味を持つ言葉になりそう。 私の場合はこの映画に出会ったのが確か14歳か15歳の時だったかと思う。 今思いなおすと最高のタイミングで最高の映画に出会っていたんだなあと。
この言葉は当時の自分にとって「何かやってみたいことはないか? こうしている間にも時間は過ぎていっているんだぜ」に聞こえた。 特に何かに夢中になったりしていなかった当時、自分は果たして何が好きなのか?なにがしたいのか? そんな自問をするきっかけになりました。
その後何度か見直したけどやっぱり10代で見た時の感覚にはなれなかったですね。 もちろんいい映画なのは変わりないけども。 だからこの映画はなるべく若いうちに見てほしいな。

舞台が寮ということで寮生活が描かれる訳でですが、それぞれの学生が個性的で正に社会の縮図といった感じがすごく楽しそう。


キーティング先生(ロビンウィリアムズ)は詩の素晴らしさや 芸術・愛等がいかに人間の生きる糧として重要かを劇中で説きますが、その語り口や生徒を見回すようにして投げかける言葉にまるで自分がその場の一人の生徒になってしまったかのように感じられます。 最初は「なんだこいつ」といった目で見ていた生徒たちが徐々にキーティングの言葉に引き込まれ、真剣なまなざしになっていく様は見ていて清々しささえありました。
キーティングの表情がまた豊かで、見ていてつい前のめりになってその細かい仕草や表情の変化をしっかり見たくなってしまいます。 優し気なまなざしがなんとも言えないんですよ。


劇中で生徒たちは「死せる詩人の会」を復活させて詩を読みあいますが、こういった大人の眼をかいくぐった自分たちだけの冒険みたいなのは子供のころに憧れるし、実際多少の危険な体験を経て成長していくものだとも思うのでこの死せる詩人の会は初見でも憧れが強かったですねー。 単純に仲の良い友人だけで集まると最高に楽しいのは老若男女万国共通なんだろうと思いますが。

でも、そんな楽しい時間も長くは続かない訳です。
死せる詩人の会が学園の知るところとなり、関係者は罰せられます。

情熱を傾けることを見つけて邁進しようとする若者に対して「お前の為」という言葉でその夢を諦めさせようとする親、それに絶望して命を絶つ二―ル。 ここではニールの親が毒親のテンプレートとして描かれますが、自分の子供の尊厳を無視し、まるでペットの首をつかんで自分の言うことを聞かせようとする姿は醜悪そのもの。 見たときは腹が立ったし、子を持つ親としては絶対に子供にこんな思いをさせてはいけないと思っています。
子供とは言え一人の人間に対する敬意をもって接しないとね。

ニールの死は 自由がいかに素晴らしくて重要なものかも分かられせてくれます。


そしてキーティングとの別れ。。
後半20分はまさに「規律・規則 VS 自身の良心」といった様子が描かれ、死せる詩人の会各人が呼び出されて詰問され、キーティングはニールの自殺を扇動したとして学園を追われることになり身支度を進めていく。。 雪の降る寒そうなシーンや扉の閉まった廊下はまるで生徒たちの心模様を投影するように寒々しく、物語中盤の明るく温かい雰囲気は無くなって自由の太陽がすっぽりと雲に覆われたようなもの悲しい雰囲気になっています。 この辺りは生徒の表情も常に曇っていて見ていると悲しい気分になってしまいますね。

そしてハンカチ必須のラストシーンに。
ラスト、キーティングが教室に荷物を取りに来るシーンは初見でボロ泣きしてまともに見られなかったのを覚えてます。
出ていこうとするキーティングに対して「おお、船長。我が船長」と生徒が机の上に立つ。
「座れ。 従わないものは退学だ!」というノーラン校長。 それでもかまわず立ち上がる生徒たち。 これはまさに「規律・規則 VS自身の良心」という構図において、規則や規律よりも自身の良心に従うことこそが自分の人生において正しい道なんだと決めた少年達の勇気の発露に違いなく、超カッコいいシーンなわけです。
全員立ち上がるわけじゃ無く、何人かは座ったまま(規律・規則に従う決断をした)というのも良い。 これで全員立ち上がってしまうとちょっと嘘くささが出てしまうけど、全員立たせなかったのは非常にリアリティがあって良いと思いました。そういう人だって絶対いるからね。

もうだいぶ前の映画ですが、自分の中では最高の映画の1本です。
子供にも見せてあげたいな。

キーティング先生のこの笑顔を見るだけで泣ける・・・この映画に出会えて本当に良かった。

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